毒棘(どくきょく)
ハオコゼ(葉虎魚)やゴンズイ(権瑞)など鰭に毒の棘を持つ魚が、防波堤などので初心者にも以外に簡単に釣れてくる。親父は、釣りの上着のポケットに何時も「ニッパー」を持っていた。
釣上げた魚の針を 外す時や活き〆する時に太刀魚の歯・鱸や鯛の鰓や鰭の棘で怪我をすることがある。鱸の鰓には、分かっているのだが背鰭の棘に気を取られていると、ヒッカケられてしまう。釣りを していれば良くあることだ。しかし、毒棘が刺さると、その毒による強烈な痛さで次回からは魚に触らずハリスを切ることを 選ぶようになる。私も海の生物には酷いめに遭わされた。
カセでよく釣れたアイゴ(尾以外の鰭に多くの毒棘がある。)、夜釣りでの定番のゴンズイ(背鰭と胸鰭に3本のはっきりとした棘)、ミャク釣りでのハオコゼ(頭に付いている長い2本の棘が特徴で小さいだけに始末が悪い。)など危ない魚は、親父に扱い方を良く教わっていたはずなのに、全く違う方向からハオコゼの洗礼を受けた。それは、当時ミャク釣りに凝っていた親父と従兄の3人で日の出埠頭に行ったおりに親父の真似をしてミャク釣りをしていて従兄弟が釣り上げたハオコゼが、風に煽られて屈んでいた私のコメカミに当たった。余りの痛さで、うずくまってしまった私を 見て従兄が親父を呼んで来てくれた。親父は、まず刺さった箇所の血を吸い出した。傷口は小さいのだが、毒のせいなのか血が多く出たことを覚えている。刺さった場所が悪かったのかその後に歯痛や中耳炎のような痛さが続いたことを今でもよく覚えている。
次は、高校の時で河口の波打ち際でサーフボードにうつ伏せに乗った時に、腹を剃刀で切られたような痛みが走った。慌ててボードから飛び降りたのだが、腹筋に力が入ってしまい背筋を伸ばすことが出来ない。もしも、あの時に足の着く場所でなければ多分、溺れていただろう。陸に揚がって見てみると幾筋ものミミズ腫れができて、その晩は、微熱が出た。後日、腹にくっきりと点々としたクラゲの姿を形どった瘡蓋ができた。生物の先生が私の腹を見て笑いながら「これは、明らかにアカクラゲだ」と言われ、恥ずかしくて、その年の夏はシャツを脱げなかった。
これは、私ではないのだが、前浜に投網に行っていた親父が「エイにやられた」と言って帰ってきた。海底にいるエイを踏みつけて尻尾の棘に胴付きのゴム長靴の上から、やられたらしく、踝の少し上に2cmほどの傷があり、かなり痛そうだった。ゴム長にも5cmほどの鋭利な刃物で切られたような後があった。何故、棘が刺さったのではなく横に切れているのか疑問に思ったが、後年、船釣りでアカエイを釣上げた時に棘を立てて尻尾をグルグル振り回しているのを見て納得した。
親父の時もそうだったが、傷の割には出血が多い。多分、蛋白毒のために毒性に溶血作用があるのではないだろうか。ならば傷から血液を吸いだすことは有効だろう。そして、蛋白質ならば変性をさせるのも有効で「患部を火傷をしない程度の高い温度の湯に漬ける」とよいと言われるのもそのためだろう。もう1つ、船頭さんに聞いた話なのだが虎魚などに刺されたら血を吸い出した後に、マッチに火を点けて、直ぐに吹き消して、そのジクを傷口に差し込むようにして焼いてしまうと言っていた。流石に海の男はやることが凄い。そして私には、とても実行する勇気がない。
毒棘の文字を見ると体中に棘がある虫のような感じがするが、魚の場合は、ヒレに毒があるために、毒鰭棘(どくききょく)の方が分かりやすい気がする。
※参照:出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アカクラゲ:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B2
※参照:WEB魚図鑑
ゴンズイ:http://fishing-forum.org/zukan/mashtml/M000337_1.htm
アイゴ:http://fishing-forum.org/zukan/mashtml/M000309_1.htm
ハオコゼ:http://fishing-forum.org/zukan/mashtml/M000041_1.htm
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