師と士
数年前に入院した時に看護婦さんの名称が看護師なっていた。師長さんに伺うと2002年の春から変わったと知らされた、それ以前の私は仕事人間で知る由もなかった。それまでは、男性は看護士と呼んで区別をしていたので男女平等を考えると「婦」に対しての「士」なので相応しくなく「師」としたとの事だった。「士」と「師」と言えば私も30年ほど前の学生時代に病院実習に行った。医療現場では、高度医療従事者の「師」が付く人達とその周辺の人に分かれていた。その中で患者さんと一番長く接してしる人は看護婦さんなのに蚊帳の外で中々意見が通らない感じがした。実際に自分が病気なってみると、医師は原因を取り除くことに全力を尽くす余りに無機質なり、此方も気を張っているためにストレスが溜まる。それを看護師さんが日々の看護の中で癒し、治癒に導いてくれる役割は大きい。そんな看護師さんの意見が「師」になることで少しでも上に通るならば大いに結構なことだ。
資格には、免許が無いと処罰されてしまう「業務独占」と名詞に肩書きを書いて利用してはいけない「名称独占」があり、前者に比べ後者は広範囲に及ぶので資格としては雲泥の差があるように思え、自己満足の資格とまで言われてしまう。私も若きころに自分が目指している物が「師」ではなく何故に「士」なのだろうかと考えたことがある。「師」は師匠・先生などの人を導き教える親方のように独立して業務を行うことが出来る。また「士」は才能をもって官に仕える者で公務員的で組織の一員のような役割がある。「士」に属する「栄養士」は大正15年の「栄養技手」から始まり昭和4年に内務省により、国民の健康増進が富国強兵へ繋げる一端を担うために御国より折り紙を頂いて栄養士が各地方庁に設置された。
今後、更に作業が細分化する中で文字による「士」と「師」の壁は無くなって行くだろうが、「士」を使って業務をする際には、「官に仕える者」が転じて「依頼人を支え、護る者」になったと私は思っている。指導する立場の「師」として自分が上から引き上げる身なのか、仕える立場の「士」として下から押し上げる身なのか良く考えたい。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント